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わたしの戦後出版史
¥3,080
ISBN: 978-4-901510-65-3 内容紹介 1953年未來社に入社し、戦後を代表する多くの作家・学者と関わり、83年に影書房を設立、いまも現役編集者として活躍する著者が、個人の回想がそのまま戦後出版史となる歴史を語る。 貴重な人物写真や初版本など図版230点を収録。 目次 聞き書きのはじめに・・・鷲尾賢也 1 未来社入社まで 2 西谷能雄社長の「頑迷固陋」 3 花田清輝、品行方正の破れかぶれ 4 平野謙の芸術と実生活 5 難解王、埴谷雄高のボレロ的饒舌 6 敗戦前後—わたしの戦争体験 7 丸山眞男の超人的好奇心 8 権威嫌いの藤田省三の仕事 9 全身小説家、井上光晴の文学魂 10 上野英信、記録文学の精神 11 木下順二と山本安英の奇跡的な出会い 12 秋元松代の反響とわが演劇運動 13 竹林の隠者、富士正晴 14 野間宏の独特な精神の迂回路 15 人類生活者・溝上泰子の闘い 16 女性の人権と自立のために—もろさわようこ・山代巴・丸岡秀子 17 北朝鮮とのかかわりと金泰生 18 西郷信綱、廣末保、安東次男と民衆文化 19 宮本常一、そして出版の仲間たち 20 『秋田雨雀日記』と忘れえぬ演劇人たち 21 上原専祿の言葉と出版への思い 聞き書きをおえて・・・上野明雄 後記・・・松本昌次 著者略歴 松本 昌次【著】 1927年生まれ。1953年、未来社入社、以後三十年間編集者として勤め、83年退社、影書房を創設し現在に至る。関わった著者に花田清輝、埴谷雄高、丸山真男、平野謙、野間宏、杉浦明平、木下順二、富士正晴、島尾敏雄、吉本隆明、井上光晴、橋川文三、上野英信、溝上泰子、廣末保、藤田省三など。手がけた数々の名著は、そのまま戦後出版史の輝かしい軌跡を描く。著書に『戦後文学と編集者』ほか。 上野 明雄【著】 1943年生まれ。1967年、小学館入社。児童雑誌編集長、児童図書・一般図書編集部長などを経て、同社取締役及び小学館クリエイティブ代表取締役を2007年退任。野上暁の名で子ども文化研究や評論家としても活躍、著書に『おもちゃと遊び』『日本児童文学の現代へ』『子ども学 その源流へ』などがある。 鷲尾 賢也【著】 1944年生まれ。1969年、講談社入社。現代新書編集長を経て、「選書メチエ」「現代思想の冒険者たち」「日本の歴史」などを手がける。学芸局長、取締役を経て2003年退任。著書『編集とはどのような仕事なのか』。小高賢の名で歌人としても活躍。歌集に『本所両国』(若山牧水賞)、『眼中のひと』などがある。
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理想の出版を求めて
¥3,080
ISBN: 978-4-901510-42-4 内容紹介 数々の大型企画や季刊誌『へるめす』の創刊など、学問・芸術・社会をつなぎ、新たな文化シーンをパノラマのごとくくり広げ、人文知の形成に大きな役割を果たした一編集者の躍動感溢れるドキュメント。著者は、1997年から2003年まで岩波書店の社長を務めた。 目次 第一章小僧の修業 岩波書店の"新人教育"/特集企画を立てる 第二章哲学者たち 講座「哲学」の編集/編集の師との出会い/個性きわだつ人々 第三章新書編集とフランクフルト国際書籍市 青版の時代/黄版の出発/フランクフルトコネクション 第四章知的冒険の海へ 「現代選書」と「叢書・文化の現在」/「20世紀思想家文庫」と「口座・精神の科学」/『魔女ランダ考』『世紀末ウィーン』『文化の詩学』など 第五章不可能への挑戦『へるめす』の輪Ⅰ 文化創造のための季刊誌/支柱としての林達夫 第六章知的冒険を楽しむ 単行本とあたらしいシリーズ/「新講座・哲学」と単行本 第七章編集長としての後半戦『へるめす』の輪Ⅱ 同人たちのがんばり/ベストセラー作家から科学者まで 第八章転換期の企画 ジャンルを超えた講座/「中村雄二郎著作集」から『安楽に死にたい』まで/二十一世紀のためのいくつかの試み おわりに 垣間見たユートピア あとがき・索引 著者略歴 大塚 信一【著】 1939年、東京に生まれる。63年、国際基督教大学卒業。同年、株式会社岩波書店入社。雑誌『思想』編集部をスタートに、岩波新書(青版・黄版)、「岩波現代選書」「叢書・文化の現在」「新講座・哲学」「河合隼雄著作集」など数々のシリーズ・講座・著作集を世に送る。また84年、編集長として季刊誌『へるめす』(編集同人:磯崎新、大江健三郎、大岡信、武満徹、中村雄二郎、山口昌男)を創刊、海外の著者・出版人にも幅広いネットワークをもち、20世紀後半の人文書繚乱の時代を創出する。90年、編集担当取締役、96年、代表取締役専務(社長代行)、97年〜2003年、代表取締役社長。現在、つくば伝統民家研究会(古民家再生コンサルティング、古材等販売)代表、社会福祉法人日本点字図書館理事、東アジア出版人会議理事。
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編集とはどのような仕事なのか
¥2,420
ISBN: 978-4-901510-19-6 内容紹介 現役必携! 志望者必読! 一般読者も本を見る眼がガラリと変わる。 講談社現代新書の編集長を務め、「選書メチエ」を創刊し、「現代思想の冒険者たち」「日本の歴史」など記念碑的企画を世に送り出した名編集者が、豊富な実践例で奥義の全てを披露する。 目次 ●編集者とは何か テレビドラマでは/「一個の人格」として/無から有を/適性はあるか ●ささやかな自分史 週刊誌での体験/激戦、新書編集部/学術局へ ●出版小史と出版事情 危機に立つ出版/日本の出版をふりかえる/コミックの出現以後 ●企画の発想法 自閉的傾向のなかで/企画の三角形/分類してみると/問題をつくる能力/編集会議という整流器/取材とはどのようなことか ●原稿依頼とプロット 引き受けてもらうには/設計図はどう作るのか ●催促と読みと修正 あるときは鬼、またあるときは……/第一の読者として/原稿修正のむずかしさ ●チェックから入稿まで 整理に必要な構想力/目次と小見出し/図版・写真・地図・イラストなど ●装丁・タイトル・オビ 本にも衣装/タイトルを練る/オビは腕の見せどころ ●編集から見た販売・流通・宣伝 書店という特異な場所/再販売価格維持契約と委託配本制/新聞宣伝と書評 ●人間交際論 「面」でつきあえ/他人の力を借りる/本と「つきあい」の共通性 ●本に未来はあるか 本はどうなってゆくのだろうか/変わりゆく編集作業/村上春樹の実験 ●著者に育てられる 手土産をもって/ネットワークを広げる/「本」編集長として/安岡章太郎と丸山真男/創刊はおもしろい ●あとがき 著者略歴 鷲尾 賢也【著】 1944年、東京の下町に生まれる。慶應義塾大学経済学部卒業。1969年、講談社入社。「週刊現代」編集部をスタートに、「講談社現代新書」編集長、PR誌「本」編集長などを歴任。書き下ろしシリーズ「選書メチエ」を創刊し、また「現代思想の冒険者たち」(全31巻)、「日本の歴史」(全26巻)などの記念碑的な企画を世に送り出す。学術局長、学芸局長、取締役を経て、2003年退任。現在、講談社顧問。また編集者の顔とは別に、小高賢の名で歌人としても活躍、歌集『本所両国』で第五回若山牧水賞受賞。批評『宮柊二とその時代』『転形期と批評』などがある。
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昭和二十一年八月の絵日記
¥1,650
ISBN: 978-4-901510-01-1 内容紹介 失われた言葉づかい、季節の移ろいを捉える繊細な感受性。懐かしい家族の情景、遊び、学校、夏祭り・・・子どもの鋭い眼と巧みな手によって、敗戦後一年目の夏がよみがえる。 当時小学校五年生が描いた、夏休みの絵日記を原寸大のカラーで再現。 著者略歴 山中和子【著】 1935年、神戸市生まれ。昭和19年(1944)より学童集団疎開で岡山県落合村へ。よく20年(1945)6月、神戸の家が空襲罹災のため疎開地を去り、丹波地方に遠縁を頼り母親と二人で転居。翌年8月終戦を迎え、昭和21年(1946)神戸の高羽小学校へ戻る。鷹匠中学校、県立神戸高校に在学中の6年間、新制作派協会の小松益喜氏にデッサン、油絵の指導を受ける。1959年、女子美術大学芸術学部洋画科を卒業。1960年より岡山県に在住。
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北朝鮮問題のジレンマを「戦略的虚構」で乗り越える
¥1,760
ISBN: 978-4-909040-01-5 内容紹介 いまの北朝鮮は、戦前の日本に似ている。ならば、戦後の日本を世界が受け入れた「虚構」(フィクション)のなかに、北朝鮮問題のジレンマを乗り越える鍵があるはずだ。本書はその「虚構」とは何か、それをどうすれば北朝鮮問題に活かせるのかを説く。日本が果たせる役割は大きく、それによって得られる果実も大きい。 無数の北朝鮮本が出版されているので、読者はまたかと思うかもしれません。北朝鮮を批判するにせよ、擁護するにせよ(これはほとんどないと思いますが)、論点は出つくしたと思われているかもしれません。しかし、この本は違います。 第1章で、過去2回の米朝合意が破綻した背景を掘り下げ、第2章で、北朝鮮問題によって日本を含む関係主要国すべてが複雑骨折のような状態にあることを分析し、第3章で、世襲制独裁の異常国家・北朝鮮で行われている悲惨な人権蹂躙の模様を詳述します。 まるで解決不能であることを論じるためのような材料をこれでもかと提示したあと、最後の第4章で、著者は「戦略的虚構」を活用して問題を乗り越えよ、と提案します。解決不能の度が深いからこそ、この「虚構」が成立する可能性があるという、意表を衝く提案が新鮮です。 内田樹氏(思想家)すいせん 「北朝鮮における人権侵害を抑制しながら、体制保証によって非核化を達成することは可能か? このきわめて困難な(ほとんど不可能な)課題に本書は驚くべき解を提示します。松竹さんのリアリスティックでかつロマンティックなアイディアに僕は同意の一票を投じます」 目次 第1章 また同じ挫折を繰り返すのか――ジレンマの歴史 1 北朝鮮の核開発はこうして始まった 2 第一次核危機と「米朝枠組み合意」 3 第二次核危機と六カ国協議 4 米朝両国の努力にもかかわらず 第2章 「非核化」と「体制保証」は両立できるのか――ジレンマの連鎖 1 北朝鮮の非核化に潜むジレンマ 2 「体制保証」それ自体のジレンマ 3 非核化と体制保証のジレンマ 4 主要関係国それぞれのジレンマ 第3章 北朝鮮の人権問題をどう考えるべきか――ジレンマの底流 1 「ヒトラーの体制でも保証するのか」という問い 2 「ナチスよりまし」とはいえない北朝鮮の実態 3 ポリティサイド国家はこうして生まれた 4 「体制を保証してはならない」という勧告 第4章 日本は「戦略的虚構」による解決をめざせ――ジレンマの克服 1 体制の保証と改革を両立させた日本の先例 2 日本は核問題で本当の橋渡しができる 3 北朝鮮への経済援助は日本の利益になる 4 拉致問題でマイナスをプラスに変える戦略 わが体験的北朝鮮論――あとがきに代えて 著者略歴 松竹伸幸【著】 編集者・ジャーナリスト、日本平和学会会員、「自衛隊を活かす会」事務局長。1955年、長崎県生まれ。1979年、一橋大学社会学部卒。直後に日本民主青年同盟の専従となり、おもに国際活動を担当する。その後、国会議員秘書を経験した上で、日本共産党中央委員会安保外交部長を歴任するなど、日本の安全保障、外交の分野で仕事をする。2006年より出版社に勤務し、2015年には現行憲法下での自衛隊のあり方を探るため「自衛隊を活かす会」(代表=柳澤協二)を結成し、現在に至る。 著書に『日韓が和解する日』、『「日本会議」史観の乗り越え方』(いずれもかもがわ出版)、『慰安婦問題をこれで終わらせる』(小学館)、『憲法九条の軍事戦略』(平凡社新書)など多数。