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北朝鮮問題のジレンマを「戦略的虚構」で乗り越える

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ISBN: 978-4-909040-01-5

内容紹介
いまの北朝鮮は、戦前の日本に似ている。ならば、戦後の日本を世界が受け入れた「虚構」(フィクション)のなかに、北朝鮮問題のジレンマを乗り越える鍵があるはずだ。本書はその「虚構」とは何か、それをどうすれば北朝鮮問題に活かせるのかを説く。日本が果たせる役割は大きく、それによって得られる果実も大きい。

無数の北朝鮮本が出版されているので、読者はまたかと思うかもしれません。北朝鮮を批判するにせよ、擁護するにせよ(これはほとんどないと思いますが)、論点は出つくしたと思われているかもしれません。しかし、この本は違います。
第1章で、過去2回の米朝合意が破綻した背景を掘り下げ、第2章で、北朝鮮問題によって日本を含む関係主要国すべてが複雑骨折のような状態にあることを分析し、第3章で、世襲制独裁の異常国家・北朝鮮で行われている悲惨な人権蹂躙の模様を詳述します。
まるで解決不能であることを論じるためのような材料をこれでもかと提示したあと、最後の第4章で、著者は「戦略的虚構」を活用して問題を乗り越えよ、と提案します。解決不能の度が深いからこそ、この「虚構」が成立する可能性があるという、意表を衝く提案が新鮮です。

内田樹氏(思想家)すいせん
「北朝鮮における人権侵害を抑制しながら、体制保証によって非核化を達成することは可能か? このきわめて困難な(ほとんど不可能な)課題に本書は驚くべき解を提示します。松竹さんのリアリスティックでかつロマンティックなアイディアに僕は同意の一票を投じます」

目次
第1章 また同じ挫折を繰り返すのか――ジレンマの歴史
1 北朝鮮の核開発はこうして始まった
2 第一次核危機と「米朝枠組み合意」
3 第二次核危機と六カ国協議
4 米朝両国の努力にもかかわらず

第2章 「非核化」と「体制保証」は両立できるのか――ジレンマの連鎖
1 北朝鮮の非核化に潜むジレンマ
2 「体制保証」それ自体のジレンマ
3 非核化と体制保証のジレンマ
4 主要関係国それぞれのジレンマ

第3章 北朝鮮の人権問題をどう考えるべきか――ジレンマの底流
1 「ヒトラーの体制でも保証するのか」という問い
2 「ナチスよりまし」とはいえない北朝鮮の実態
3 ポリティサイド国家はこうして生まれた
4 「体制を保証してはならない」という勧告

第4章 日本は「戦略的虚構」による解決をめざせ――ジレンマの克服
1 体制の保証と改革を両立させた日本の先例
2 日本は核問題で本当の橋渡しができる
3 北朝鮮への経済援助は日本の利益になる
4 拉致問題でマイナスをプラスに変える戦略

わが体験的北朝鮮論――あとがきに代えて

著者略歴
松竹伸幸【著】
編集者・ジャーナリスト、日本平和学会会員、「自衛隊を活かす会」事務局長。1955年、長崎県生まれ。1979年、一橋大学社会学部卒。直後に日本民主青年同盟の専従となり、おもに国際活動を担当する。その後、国会議員秘書を経験した上で、日本共産党中央委員会安保外交部長を歴任するなど、日本の安全保障、外交の分野で仕事をする。2006年より出版社に勤務し、2015年には現行憲法下での自衛隊のあり方を探るため「自衛隊を活かす会」(代表=柳澤協二)を結成し、現在に至る。
著書に『日韓が和解する日』、『「日本会議」史観の乗り越え方』(いずれもかもがわ出版)、『慰安婦問題をこれで終わらせる』(小学館)、『憲法九条の軍事戦略』(平凡社新書)など多数。

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