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ISBN: 978-4-901510-37-0
内容紹介
「価値」と「ルール」を手がかりに、近い将来日本が受け入れることになる多くの外国人労働者や、マイノリティとの「共生社会」への展望をひらく。
タテマエではなく、自分自身の判断の基準とすべき、「生きた思想」として人権論を取り戻す画期的論考。
目次
序 章 人権論の視座
価値対立の世紀
切り札としての普遍的人権概念
二つの異なる原理
視点の転換
自己中心性から出発する
第1章わたしはなぜ人権を論じるか
遅まきのスタート
「スコップの方が大事」
ある決心
政治犯を救え
新たな道の模索
竹田現象学との出会い
まやかしの共生論
自分のことばをつかむために
第2章二十一世紀の新たな問題
「壁」が崩壊した後で
資本主義の光と陰
価値対立と利益対立
第3章会議は踊る
わたしの見たウィーン世界人権会議
人権をめぐる南北対立
採択されなかった「S」
第4章人権の二つの原理
人権論の系譜
天賦人権論への批判
人権の意味論
存在は経験に先だつ
定義なき「人間の尊厳」
約束と経験
原理は一つという陥穽
第5章価値的人権原理とは何か
内在する絶対価値
二つの原理の混在
カントの道徳的自由論
竹田青嗣の欲望論
近代の分水嶺
価値的人権原理の存在理由
恣意的な根拠
理念と現実のギャップ
中絶と脳死の問題
第6章ルール的人権原理とは何か
権利と権理
性同一性障害の話
合意に基づく権利
なにゆえに約束するのか
ロビンソン・クルーソー問題
ロックの主張
ルソーの原理
ヘーゲルの相互承認論
近代国家の起源
ルール的人権原理の今日的意義
第7章現代日本の神話と課題
コリアに対する二つの姿勢
五十年後の日本
一八九九年体制
コスメティックな多文化主義
「混合」と「単一」の民族神話
二つの神話の使い分け
第8章開かれた共生社会をもとめて
三つの課題
文化多元主義と多文化主義
自己中心性と市民主義
極限状況での共生体験
公共性への志向
文化的多様性の受容のために
キムリッカの集団別権利論
ジレンマをどう解くか
ルールと欲望
魯迅がもとめたもの
著者略歴
金 泰明【著】
1952年大阪市に生まれる。大阪市立大学商学部卒業。在日韓国人政治犯を救援する家族・僑胞の会事務局長(1976-1990)、在日韓国民主人権協議会共同代表(1990-1995)を経た後、明治学院大学大学院で近代哲学と現象学を学ぶ。国際学博士。
英国エセックス大学大学院人権理論実践コースで哲学・倫理学・政治学を学び、M.A.を取得。現在、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授。著書に『マイノリティの権利と普遍的人権概念の研究−多文化的市民権と在日コリアン』(トランスビュー)。
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