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ISBN: 978-4-901510-59-2
内容紹介
鎌倉時代を、親鸞・道元・日蓮らが代表する新仏教の時代と見るのは、一面的な見方にすぎない。鎌倉仏教観を変えた顕密体制論をさらに超えて、この時代の思想を総合的に捉えようとする斬新、意欲的な論集。
『鎌倉仏教形成論』(法藏館刊)につづき、中世精神史の新たな見方を提示する。
目次
序 章 鎌倉仏教をどう見るか
Ⅰ 方法と概観
第一章 日本宗教史の中の仏教
一 鎌倉新仏教中心史観から顕密体制論へ
二 日本宗教史における仏教の位置づけ
第二章 鎌倉仏教の形成と展開
一 方法論をめぐって
二 実践と倫理
三 修行と教学
四 王権と神仏
Ⅱ 鎌倉仏教の形成
第三章 本覚思想をめぐって
一 本覚思想と密教
二 本覚思想の定義と類型
第四章 浄土教の思想
一 浄土教における現世と来世
二 法然の『選択本願念仏集』撰述とその背景
第五章 栄西における密と禅
一 栄西—密から禅・戒へ
二 栄西はどのように禅を伝えたか
Ⅲ 鎌倉仏教の展開
第六章 日蓮の真偽未決遺文をめぐって
一 遺文の真偽論をめぐって
二 『三大秘法抄』—宗教と国家
三 最蓮房宛遺文—本覚思想との関係
第七章 密教からみた諸宗—頼瑜の諸宗観
一 『諸宗教理同異釈』
二 『顕密問答鈔』
第八章 無住の諸行並修思想
一 『聖財集』にみる無住の実践仏教
二 『聖財集』における四句の体系
第九章 『夢中問答』にみる夢窓疎石の思想
一 夢窓疎石とその思想史的位置づけ
二 『夢中問答』の思想
第十章 仏教と中世神道論—神・仏・天皇論の展開
一 仏教から見た歴史と天皇—『愚管抄』を中心に
二 中世神道における天皇論—慈遍を中心に
結 章 中世から捉え返す思想
あとがき
初出一覧
索 引
著者略歴
末木 文美士【著】
1949年、山梨県甲府市に生まれる。1978年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻、仏教学、日本思想史、日本宗教史。仏教を生きた思想として再構築することを目指し、また仏教を含めた全体的な日本宗教史を構想、さらには現代倫理の問題までを射程に入れて、その著作は一作ごとに大きな波紋を呼び活躍が注目される。
著書に、『近代日本の思想再考1・明治思想家論』『近代日本の思想再考2・近代日本と仏教』『思想としての仏教入門』(トランスビュー)、『日本仏教史—思想史としてのアプローチ』(新潮社)、『日本宗教史』『解体する言葉と世界—仏教からの挑戦』『「碧巌録」を読む』(共に岩波書店)、『仏教VS倫理』(筑摩書房)、『鎌倉仏教形成論—思想史の立場から』(法蔵館)など。編著書に『日本の仏教』第1期・第2期(法蔵館)、『岩波仏教辞典』第2版、『岩波講座 宗教』、『現代語訳 碧巌録』(上・中・下、岩波書店)ほか多数。
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