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ISBN: 978-4-901510-94-3
内容紹介
昔話の研究から、明恵の夢の分析、そして『とりかへばや物語』『源氏物語』論へ。宗教と科学の接点に立ち、東洋と西洋の根源的な理解を目指した、日本人初のユング心理学者・河合隼雄の稀有で壮大な物語。
目次
はじめに
序 章 新たな物語のはじまり
1 慎重な基礎作業
2 昔話を講義する
第一章 西洋の昔話の研究
1 グリム童話を素材に
2 母性の二つの側面
3 「怠け」の意味
4 心の相補性
5 いばら姫の眠り
6 トリックスター、ヨハネスの働き
7 王子のイニシエーション
8 「なぞかけ姫」と「なぞ解き姫」
9 女性の心の中のアニムス
10 個性化の過程は一般化できない
11 日本人の意識構造
第二章 日本の昔話の特色
1 日本の昔話に挑む
2 あわれの感情
3 山姥の両面性
4 鬼の笑いとは何だったのか
5 きょうだいの結合
6 日本人の抱く二つの女性像
7 異類女房譚
8 東西の「手なし娘」の話
9 ユングの四位一体説の応用
10 「炭焼長者」の意志する女
11 片側人間の悲劇
第三章 さまざまな知的冒険
1 科学主義を超えて
2 無意識の科学の確立を目指して
3 夢と転移
4 トランスパーソナルとニューサイエンス
5 たましいのはたらき
6 共時性の現象
7 死と臨死体験をめぐって
8 イスラーム神秘主義と「意識のスペクトル」
9 自然(ネイチャー)と自然(じねん)
10 心理療法は宗教と科学の接点にある
第四章 仏教への関心
1 菩薩とマンダラ
2 阿闍世物語と十牛図の検討
3 明恵『夢記』との出会い
4 日本人と夢
5 明恵の生きた時代
6 捨身と再生
7 耳を切る
8 明恵の意識の変遷
9 明恵と女性たちとの関係
10 華厳の教えの夢
第五章 物語と人間の科学
1 現代作家たちとの交流
2 物語の意味
3 『とりかへばや』の筋書き
4 多様なイメージと読みを与える構造
5 物語論の展開
6 『源氏物語』を読み直す
7 紫式部という女性の物語
8 「父の娘」
9 光源氏の変貌と紫マンダラ
10 宇治十帖における女性の生き方の追求
11 物語の冒険
終 章 物語を生きる
あとがき
人名索引
著者略歴
大塚 信一【著】
1939年、東京に生まれる。63年、国際基督教大学卒業。同年、株式会社岩波書店入社。雑誌『思想』編集部をスタートに、岩波新書(青版・黄版)、「岩波現代選書」「叢書・文化の現在」「新講座・哲学」「河合隼雄著作集」など数々のシリーズ・講座・著作集を世に送る。また84年、編集長として季刊誌『へるめす』(編集同人:磯崎新、大江健三郎、大岡信、武満徹、中村雄二郎、山口昌男)を創刊、学問・芸術・社会にわたる知の組み換えと創造を図る。97年〜2003年、代表取締役社長。現在、つくば伝統民家研究会(古民家再生コンサルティング、古材等販売)代表、社会福祉法人日本点字図書館理事、東アジア出版人会議理事。著書に『理想の出版を求めて‐一編集者の回想1963-2003』『山口昌男の手紙?文化人類学者と編集者の四十年』『哲学者・中村雄二郎の仕事?<道化的モラリスト>の生き方と冒険 』『河合隼雄 心理療法家の誕生』(いずれもトランスビュー)がある。
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