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言葉の服

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ISBN: 978-4-7987-0172-1

内容紹介
「見慣れた世界を初めて見るかのように見ている」
――鷲田清一 氏

衣食住と言われるように、服は人間にとって不可欠なものです。しかし、私たちはいつしか〈ファッション=流行〉としてしか衣服を捉えなくなってしまいました。まして、日本人は近代以降「洋服」を着ることを当たり前のこととしています。では、服飾において私たち日本人が培ってきたものは捨て去られるだけなのでしょうか?

著者は、大学院まで哲学を学び、そこから服飾の世界に転じた後、「日本の美意識が通底する新しい服の創造」をコンセプトとしたブランド「matohu(まとう)」を立ち上げました。その方法は、「言葉から服を生み出す」というものです。

私たちはいま、どのような服を着ているのか。そして、服とは何から生まれるのか。私たち自身の日々の生活を見つめ直すことで、いつしか忘れてしまった「日本の美意識」に気づくことができます。気鋭のファッションデザイナーが紡ぐ、服と生活を考えるための哲学的エッセイ集。
目次
はじめに――いま私たちはどんな服を着ているだろう

第一章 気づきを生かす
はじめに「言葉」がある
言葉の矢――ドイツで問われた根本
哲学とファッション
立体裁断、自由の造形
人のうつわ
おしゃれの意味
服が生み出す「交わりの場」
「和」という言葉
枯野見――風雅な遊び
「もの」が語る生活の秘密
「衣料危機」って何?

第二章 「日本の眼」で見つめる
「日本の眼」とは何か
「かさね」――季節と色と言葉のデザイン
「無地の美」――無限の味わい
「映り」――取り合わせの不思議
「やつし」――簡素な豪華さ
「見立て」――物の転生
「あわい」――関係性の美学
「尽くし」――豊かさの祝祭
「素(しろ)」――色なき根源の色
「ほのか」――無から出ずるもの
「かろみ」――物数を尽くす
「おぼろ」なる世を愛する
「うつくし」――かわいさと強さ
「いき」――生き方の理想
「かざり」――命の荘厳
「なごり」――終わりと始まり

第三章 日本人のおしゃれ
土方歳三の「いき」
中原中也の「憧憬」
智恵子の素(しろ)
宮沢賢治の「田園」
藤田嗣治の「ミシン」
白洲正子の「プリーツ」

第四章 出会いを生かす――物と人
花鋏と突然の覚悟、心の手について
華やぐ美のひとしずく 九谷焼酒盃
「銘仙」と伝統の泉
「こぎん」を身にまとう
「素型」のデザイン――文化ボディ
偉大なる「ない」のコート
「いき」と国宝の美
風に舞う――能と衣装
日本の美を生きた人
『日本の面影』を旅する

第五章 日々の哲学
日々の哲学
発熱する命
蕎麦屋での思索
「きく」ということ Ⅰ
「きく」ということ Ⅱ
永遠の今
人生を変える言葉
対話と思考

第六章 対話篇――哲学者 鷲田清一と京都を歩く

歩きながら考える
なぜ、外国人旅行者は京都できものを着たがるのか?
弓は「私」ではなく「それ」が射る
日本の美意識を西洋哲学の言葉で考えた九鬼周造
和語は現象学に向いている
純粋な日本文化なんてない
「つかう」と「つきあう」
その人にとっての「言葉の服」
待つことなく、待つ
「おしゃれ」の意味
本当におしゃれな人たち
おしゃれは「する」のではなく「なる」もの
顔の映り、映える服
服をまとうことで自分が生まれる
西洋的普遍と思われているものの特殊性
見慣れたものを初めて見るかのように見る
服を通じたコミュニケーション
結論の決まっていない対話
著者略歴
堀畑裕之【著】

服飾デザイナー。大阪府堺市生まれ。同志社大学文学部卒、同大学院哲学専攻修了。その後、文化服装学院アパレルデザイン科へ。コム・デ・ギャルソンにて勤務の後、渡英しロンドンコレクションの仕事にたずさわる。帰国後05年に「日本の美意識が通底する新しい服の創造」をコンセプトとしたブランドmatohu(まとう)を関口真希子と共に設立。06年より、東京コレクションに参加。09年、毎日ファッション大賞新人賞、資生堂奨励賞受賞。11年、「慶長の美」展(スパイラル、熊本市現代美術館)。12年、「日本の眼―日常にひそむ美を見つける」展(金沢21世紀美術館)など美術館での展覧会も行なっている。

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